知っておきたい!排水処理のしくみ
片岡舞子
2023年10月28日
こんにちは不動産部 片岡 です。
今回は、私が以前から気になっていた
汚水の排水処理の仕組み についてまとめてみますね。
排水処理のしくみは、
物件の維持管理コストに関わる重要なことなので、
不動産の購入や管理を検討する上で気にしておきたいポイントの一つでもあります。
田舎を車で走っていると、
ポツンとある一軒家や古くからありそうな家の集落が目に入り、
「あの家はブロワー※があるから浄化槽使っているな」とか
「おばあちゃん家のように汲み取り式だろうか?」
などと大変気になります。
できることなら車から降りて確認しに行きたいところですがグッとこらえて目で追うだけにしています(笑)
ちなみに私が住んでいるのは、春日井市内ですが浄化槽地域です。
※ブロワー…浄化槽内の微生物が呼吸するための酸素を送る装置。酸素の供給が止まると浄化槽内の微生物が死滅し浄化槽としての機能が失われてしまう。
排水には、
雨水、雑排水(台所、風呂などから出る排水)、汚水(トイレから出る排水)があり、
雑排水と汚水は河川などへ放流する前に
汚水処理場や浄化センターなどの施設で適切に処理されてから河川へ放流されます。
ここでは、汚水(トイレから出る排水)についてふれてみます。
汚水の排水処理方法として、
下水道、浄化槽、および汲み取り式のシステムが一般的に使用されます。
以下各システムについてまとめてみました。
1.下水道
各自治体が、下水道を維持管理し下水管へと接続すると使用できる。
下水は汚水処理場へと送られ浄化、適切な処理をしてから河川へと放流される。
物件情報には「公共下水」と記載がされている。
下水道は管理する自治体が設備の維持管理を行うため利用者はメンテナンスの必要はない。
コスト:使用料のみ。(※新たに下水道が整備され利用する場合は土地所有者が受益者負担金を支払う)
一般的には上水道の使用量を元に算出される。
仮に…
使用料20㎥/月(口径20mm)の場合 下水道料は5,830円/2ヶ月
※参照元:上下水道早見表(春日井市)
年間コスト34,980円
※自治体によってことなります。
2.浄化槽
汚水を浄化槽へと流し、微生物が汚れを分解してから河川や用水路などへ排出するしくみ。
下水道が整備されていない、接続できない地域で使用される。
定期的な清掃、点検が法的に義務付けられている。洗剤の使用料が多い、ひどい汚れや油を流すなどをした場合はトラブルが発生することがあり注意が必要。
コスト:浄化槽維持管理にかかるメンテナンス費用(定期点検、法定点検、保守点検、ブロアー電気代など)
我が家の例でいうと…
浄化槽使用料 5,900/月(4人家族の場合)、新規加入負担金100,000円
年間コスト:70,800円
※自治体や業者、居住人数によって変わります。
3.汲み取り式
いわゆる「ボットン便所」といわれる汲み取り式の下水。
山間部や地域の下水道が整備されていない地域、浄化槽の設置が難しい場所で使用されるシステムで、農村地域や離島などの住宅環境で利用されていることが多い。
トイレの排水を便槽とよばれる地下のタンクへ溜めるタイプで、定期的にバキュームカーで汲み取り
処理する。
汲み取り式でも、見た目は一般的な水洗トイレと変わらず、便器と便槽の間に水で蓋をすることで汚水の臭いが漏れることはない「簡易水洗」がある。但し、ボットン便所と比べると流す水の量が増えるため、便槽が早くいっぱいになってしまい汲み取り頻度が高くなる。
コスト:定期的な汲み取り費用は各自治体や業者によって異なるが一般的には下水道や浄化槽よりコストが安い。
汲み取り式はコストは抑えられますが、臭いや衛生面、定期的な汲み取りの煩わしさなどハードルが高いといえます。
浄化槽は維持管理コストが大きくなる傾向があり、借主にも管理費が上乗せされていることが多く
貸主、借主双方にとってメリットはありません。
選べるのであれば下水道が最も良いシステムであり、下水道が整備されている物件の方が投資価値としてメリットが大きいといえるでしょう。
そして、下水道も浄化槽も汚れを分解するという微生物たちの働きのおかげで水質が保たれていると思うと、私にもできることをしなければ!という気持ちにさせられます
油汚れはしっかり拭き取ってから洗う、少しでも環境に優しい洗剤※を選ぶ…など。
できることを心掛けています。
環境に優しい洗剤を使うことは、水質を守り生物を守ることにつながります。
また、近年注目を集めるSDGs目標のNo.6「安全な水とトイレを世界中に」にも
関わってきますね。
※合成界面活性剤、化学物質が含まれておらず、生分解性が高い洗剤。すすぎも1回で十分なものが多い。